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余録:米大統領選と科学 毎日新聞

毎日新聞 2008年1月9日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/opinion/yoroku/news/20080109ddm001070034000c.html

余録:「スーパーマン」を演じた米国の俳優クリストファー・リーブさんが…
 「スーパーマン」を演じた米国の俳優クリストファー・リーブさんが亡くなったのは前回の米大統領選の最中だった。95年の落馬事故で脊髄(せきずい)を損傷し、車椅子で活動を続けていたが、力尽きた。直後に妻が民主党候補の応援演説に立った。ヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究の必要性を訴えるためだ▲ES細胞は「元祖万能細胞」で、再生医療の切り札と目されてきた。ここから神経細胞を作って移植すれば脊髄損傷の治療にも役立つかもしれない。リーブさんも期待をかけ、「再び歩く」と宣言していた。一方で、受精卵を壊して作るため共和党のブッシュ大統領は否定的で、民主党との間で一大争点となっていた

▲今度の大統領選はどうか。米科学誌「サイエンス」の新年号は「科学と次期大統領」を特集している。受精卵を使わない万能細胞が登場したためか、ES細胞論争に勢いはない。代わりに注目されるのは温暖化対策だ▲民主党のクリントン候補は、2050年に二酸化炭素の排出を90年比で80%削減するため、再生可能エネルギーに資金を投じるという。オバマ候補はバイオ燃料や排出権取引に注目する。共和党のマケイン候補も、温暖化対策を最重要課題と位置づける▲誰が勝っても米国の温暖化対策が変わることは間違いないだろう。その時に世界がどう変化するか。日本も単に米国追随ではいられない▲温暖化以外でも各候補は基礎科学、宇宙開発、医学研究と、さまざまな発言をしている。その政策が時には世界に影響するから要注意だ。日本も今年は選挙の年になるだろう。その時には、世界の動向を左右するほどの、科学政策論争も聞かせてほしい。